
我が家の食卓には、明確な「法」がある.....
「調理権を持つ者が、すべてのメニューを支配する」 ……
そう、我が家の絶対君主・妻なのだ。
妻の身体は、おそらく半分がチョコレート、もう半分がスイーツでできている。
一方、俺の身体は今、猛烈に「日本食」を欲している。
酢飯、醤油、わさび....そして、新鮮な刺身……
ここ数週間、俺の脳みそは「寿司を食わせろ‼」というデモ隊がプラカードを持って暴れている状態なのだ。
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昨日の夕方。 勇気を出して言ってみた。
俺「なぁ~今日の晩ご飯.....お寿司とか刺身にせえへん? ほら、さっぱりしたやつ~」 すると、キッチンから返ってきたのは、地を這うような低い声だった.....
妻「は‼‼? 刺身? あんな生ぬるい魚の切れ端で、米が食えるか??今日はハンバーグや~」
俺「❓いや、食えるやろ……。ワイ~日本人やぞ」
妻「却下。肉や~ 肉を焼く!」
……交渉決裂。
我が家のメニュー会議は、国際連合の常任理事国なみに、妻の一言で100%拒否権が発動する。
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夕食.....出てきたのは、肉汁溢れる超巨大なハンバーグ.....
確かに美味い。
美味いのだが……俺の胃袋が求めているのは、マグロの赤身なのだ。
ジューシーな肉を咀嚼しながら、ふと横を見ると、妻が信じられないスピードでハンバーグを完食していた。
そして、恐ろしいのはここからである。
妻は立ち上がり、冷蔵庫から「ファミリーパックのアルフォート」と「新作生チョコプリン」を取り出してきた ……
本番はここからか.....
妻「やっぱり、肉の後はチョコやな〜」 チョコを次々と口に放り込んでいく。
俺「……なぁ、そんなにチョコばっかり食べて、主食が逆で、甘いものになってへん?」
妻「何言うてんの?? チョコは別腹~ これ、常識やで?」
俺「その2つの腹って? どっちも肉と砂糖でパンパンではないか?」
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今日......どうしても寿司が諦めきれない俺は、スーパーの鮮魚コーナーに立ち寄った。
あった……!「半額」のシールが貼られたマグロ尽くし握り。
神様、ありがとう~
妻に見つからないよう.......買い物カゴに、妻が大量に掴んできた「徳用ブラックサンダー」の袋の下に、そっとマグロ握りを滑り込ませる。
完璧な隠蔽工作だ。
向かうは、難関・セルフレジ......
今日のオペレーター(通す係)は妻...... 俺は、補助の袋詰め係......
妻の動きは今日もキレキレだ.....
ピッピ、ピッピと、野菜やチョコが次々とレジに吸い込まれていく。
(よし!……このままドサクサに紛れて通過しろ……!)
しかし、我が家の絶対君主の「獲物検知センサー」を舐めてはいけなかった。
カゴの底からマグロのパックが現れた瞬間、妻の動きがピタッ‼……と止まった。
そして.....その目は、完全に密輸犯を捕らえた関税職員......
妻「ん??……何これ?」
俺「あ~ いや……その、半額やったから、つい……(汗」
妻「これ~生ぬるい魚の切れ端やん。いらんって言うたやろ」
あ~終わった…… 没収、そして鮮魚コーナーへの強制送還を覚悟した......
その時..... 妻の視線が「半額」のシールにロックオンされた。
そして......じっとマグロを見つめる妻.....
次の瞬間、妻の手が、すっと...マグロをバーコードにかざした。
ピッ!
神様、そして半額シールを貼ってくれた店員さん、ありがとう!
今日の夕食後.....ふと妻が、「今日、意外と安く済んで良かったわ〜」と呟いた。
俺は何も言い返さず.....「そうやな」とだけ答えて食器を洗った......