俺と親とピンク♡ラパンと。

両親バラバラ介護と老後破綻のはざまで、男ひとりのリアル奮闘記。ピンク♡のラパンが俺を救う⁉︎

【第45話】「我が家の食卓は絶対王政」 ーチョコの女王と、生魚に飢えた平民の食糧危機ー

              

我が家の食卓には、明確な「法」がある.....

「調理権を持つ者が、すべてのメニューを支配する」 ……

そう、我が家の絶対君主・妻なのだ。

妻の身体は、おそらく半分がチョコレート、もう半分がスイーツでできている。

一方、俺の身体は今、猛烈に「日本食」を欲している。

酢飯、醤油、わさび....そして、新鮮な刺身……

ここ数週間、俺の脳みそは「寿司を食わせろ‼」というデモ隊がプラカードを持って暴れている状態なのだ。

昨日の夕方。 勇気を出して言ってみた。

俺「なぁ~今日の晩ご飯.....お寿司とか刺身にせえへん? ほら、さっぱりしたやつ~」 すると、キッチンから返ってきたのは、地を這うような低い声だった.....

妻「は‼‼? 刺身? あんな生ぬるい魚の切れ端で、米が食えるか??今日はハンバーグや~」

俺「❓いや、食えるやろ……。ワイ~日本人やぞ」

妻「却下。肉や~ 肉を焼く!」

……交渉決裂。

我が家のメニュー会議は、国際連合の常任理事国なみに、妻の一言で100%拒否権が発動する。

夕食.....出てきたのは、肉汁溢れる超巨大なハンバーグ.....

確かに美味い。

美味いのだが……俺の胃袋が求めているのは、マグロの赤身なのだ。

ジューシーな肉を咀嚼しながら、ふと横を見ると、妻が信じられないスピードでハンバーグを完食していた。

そして、恐ろしいのはここからである。

妻は立ち上がり、冷蔵庫から「ファミリーパックのアルフォート」と「新作生チョコプリン」を取り出してきた ……

本番はここからか.....

妻「やっぱり、肉の後はチョコやな〜」 チョコを次々と口に放り込んでいく。

 俺「……なぁ、そんなにチョコばっかり食べて、主食が逆で、甘いものになってへん?」

妻「何言うてんの?? チョコは別腹~ これ、常識やで?」

俺「その2つの腹って? どっちも肉と砂糖でパンパンではないか?」

今日......どうしても寿司が諦めきれない俺は、スーパーの鮮魚コーナーに立ち寄った。

あった……!「半額」のシールが貼られたマグロ尽くし握り。

神様、ありがとう~

妻に見つからないよう.......買い物カゴに、妻が大量に掴んできた「徳用ブラックサンダー」の袋の下に、そっとマグロ握りを滑り込ませる。
完璧な隠蔽工作だ。

向かうは、難関・セルフレジ......
今日のオペレーター(通す係)は妻...... 俺は、補助の袋詰め係......

妻の動きは今日もキレキレだ.....
ピッピ、ピッピと、野菜やチョコが次々とレジに吸い込まれていく。
(よし!……このままドサクサに紛れて通過しろ……!)

しかし、我が家の絶対君主の「獲物検知センサー」を舐めてはいけなかった。

カゴの底からマグロのパックが現れた瞬間、妻の動きがピタッ‼……と止まった。

そして.....その目は、完全に密輸犯を捕らえた関税職員......

妻「ん??……何これ?」

俺「あ~ いや……その、半額やったから、つい……(汗」

妻「これ~生ぬるい魚の切れ端やん。いらんって言うたやろ」

あ~終わった……  没収、そして鮮魚コーナーへの強制送還を覚悟した......

その時.....  妻の視線が「半額」のシールにロックオンされた。

そして......じっとマグロを見つめる妻.....

次の瞬間、妻の手が、すっと...マグロをバーコードにかざした。

ピッ!

神様、そして半額シールを貼ってくれた店員さん、ありがとう!

今日の夕食後.....ふと妻が、「今日、意外と安く済んで良かったわ〜」と呟いた。
俺は何も言い返さず.....「そうやな」とだけ答えて食器を洗った......